最近ではあの世はどう捉えられているのか? (2005.1.18)

 前に、あの世の様子は大昔の人が考えたまんまで、今でもそれが伝えられているのはおかしいのではないかという旨を書いた。ひょっとしたら、最新のあの世像はもうちょっと違うのかもしれない。そこで、新宗教ではあの世をどう考えているのか調べてみた。ちなみに、「新興宗教」という名前の方が浸透しているが、成り上がり者という蔑視の意味があるそうだ。

 うーん、どんどんうさん臭くなってきたぞ、このエッセイ。新宗教にしろ新興宗教にしろいかがわしいイメージはぬぐえない。平成7年6月に実施された「全国世論調査」では、「最近の新しい宗教のイメージ(2つまで回答)」は「金もうけ主義」が60.1%で1位、「強引な勧誘」が45.9%、「怖い」が37%なのだそうだ。「金もうけ主義」というのは、お布施と称して高い金を取られるという意味だ。

 新宗教の、いろいろな教団のサイトへのリンク集からいくつか拾い読みしてみた。ところが、あの世とか天国とか地獄についてはまったく書かれていない。そこで、今度は「新宗教 死後生」で検索してみた。

 新宗教は幸せに生きることに重点を置いていて、あの世についてはすっかり関心が薄れているそうだ。宗教でさえもはやあの世には関心がないのだ。凡人である私が、どうしてあの世を信じることができるだろう。

新宗教 既成宗教(仏教)
現世における幸福と不幸の強調。個人の幸福が全人類の幸福の基礎になると考える。 死後の世界、浄土の救いと地獄の苦しみを強調。
全宇宙は神や仏の顕現であり、人間も本来神や仏の性格を持つことが強調される。 この世のはかなさ、人間の悪や罪の消去困難を説き、仏と人間の断絶を強調する。
知的教義よりも日常生活に即した宗教体験が重んじられる。また、俗人信徒に大きな役割が与えられる。 文字伝統に根ざした知的教義(経典)を習得した僧侶階級の権威を強調する。

 新宗教では中心的な礼拝対象は「宇宙大生命」と呼ばれるものである。典型的な教えでは、宇宙万物も人間も同じ宇宙大生命から派生した存在としてとらえ、他者や環境と調和した関係を結ぶことによって宇宙の生命力と合体していけると説かれる。また、人間は死ぬとこの大宇宙の生命体へ溶け込んでしまい、死後の生命などというものはないともされている。

 大昔のあの世に対する考え方よりこっちの方が全然いい。ただし、この場合も宇宙大生命なるものを見る、あるいは感知する能力を持った人が説いたとか、膨大な量の資料を参考にして論理的な思考を積み重ねていった結果そういうふうになっているという結論に達したとかだったらいいのだが、誰かの勝手な想像に過ぎないとしたら話にならない。

 私はあの世を否定しようとしているのだから無神論者になろうとしているとも言える。まあ、あの世さえなければ別に神様はいてもいいのだが。どちらかというと無神論者というより不可知論者である。あの世はあるのかないのか、神はいるのかいないのか、そんなことは誰も証明できない。だから、信じるしかないのだ。ただ、「あの世はない」と自分の中で納得する、という目標については、だいぶ達成できてきた気がする。


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