おかしな仕組み (2003.6.21)

 中学生の時、国語の先生が突然「この一時間で、税金を減らす方法を調べ、考えなさい」という課題を与えたことがある。なぜ先生は、中学生には難しすぎる事を言い出したのか。授業を聞かず騒いでいる私達に腹を立て、考えるということをやってほしかったのか、それともそんな私達に意地悪をしたくなったのか、分からない。もうちょっと大人になれば分かるかと思っていたが、今もその意図を図りかねる。

 税金を減らす方法を考えようと思ったら、まず何に使われているのかを知る必要がある。しかし、多くの人は知らないだろうし、私も分からない。警察の給料になっているのだろう、くらいにしか知らない。

 私は、ここがおかしいと思うのだ。一体全体何に使われているのかも分からないものに、毎月結構な額を払わされているのだ。こんな事を識者に問えば、新聞を読みなさい、ニュースを見なさい、と言われるだけかもしれない。あるいはインターネットで一生懸命検索するか。

 これもおかしな話だ。金を払わせるのだから、その用途は全国民に知らせるべきだ。なぜそれをしないのだろう。新聞に整理されていない形で載せてあったとしても、そんなものは国民全員が読むはずがない。

 それと、最近法律のおかしさをネタにした番組が二つほどある。これも同じである。法律というものは、全国民が守るべきものだ。しかし、六法全書を読んでいる人が、日本人のうち何割くらいいるだろう。私も読んだことはない。しかし、守らなければ逮捕されてしまうのだ。守るべきとして勝手に決められたルールが、ほとんどの人に知らされていない。あの番組を見ていると、自分がどんなことで罪に問われるか分かったものではない、などと思ってしまう。

 国民健康保険もおかしい。大きな病気や怪我をしない限り、払った方が損になるのだ。加入しなければ医療費は本人の全額負担になるが、その方が毎月何万も払うより安くつくのではないだろうか。そのかわり大きな病気になればアウトだ。だいたい、入院費というものはなんであんなに高いのだろうか。住む環境としては普通のアパートよりはるかに劣るのに、ベッド代だけでものすごい額が取られる。個室だと高すぎるから、見ず知らずの人と横一列に並べられて、プライバシーもへったくれもなく過ごさなくてはならない。

 本当に、それだけの経費がかかるのだろうか。ドラマに出てくる大病院の医者はみんな大金持ちである。彼らに裕福な暮らしをさせるためにぼったくっているのだとしたら、まったくおかしなシステムだ。

 しかも、国民健康保険でも足りないからという理由で多くの人が各種の保険に入る。それも、自ら進んで入る人は少ないと聞く。保険のおばちゃんにうまく言いくるめられて、わけも分からないまま加入するのだ。

 入れば今度は癌になった時のために癌保険に入りませんかという話になる。転居すれば火災保険に入りませんかと来る。自動車を持っている人は自動車保険に入るかもしれない。すべては「保険」なのであり、該当する危機が起こらなければ大損になる。

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 国民年金保険に対する不安が増大している。少なくとも払った分が返ってこなければ、払う意味がない。ところが将来、払うだけ払わせておいてビタ一文返ってこないという事態になるのではないかという噂が世間に広まっている。

 少なくとも現在は、長生きすればするほど得をするシステムだ。しかしこちらが払う年金額は年々増加していくらしい。また現状でも、長生きしなかったら損をする仕組みだ。もっとも、遺族年金という形で残った者に支払われるが。

 これもまた、国民年金だけでは老後暮らせないから、個人年金に入りませんかという勧誘が来る。

 未来がどうなるかなど、誰にも分からない。今まさに必要とするものではない、損するか得するか分からないもののために、毎月あきれるほど多額の金を払っているのだ。

 中学校の国語の先生、お元気ですか? あの時の課題、何年もたった今でも、提出できそうにありません。


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