やっぱり意識は脳にある (2005.7.23)

 あーあ、もう2ヶ月ほど更新してないや。別に入院していたわけでもなければ、多忙を極めていたわけでもない。どうやらとうとうあの世調査にも飽きてきたらしい。

 V.S.ラマチャンドラン著、「脳のなかの幽霊」をやっと読み終わった。もう何ヶ月前に買った本だか覚えていないくらいだ。ちょっと読んで、飽きて、しばらくたってまたちょっと読んで、を繰り返してようやく読了した。それくらい読み進めづらい本。いやもちろん私にとっては、だが。

 本屋でタイトルを見て、幽霊は脳が生み出す幻覚にすぎないということを、詳細に論じてくれている本かなあと思って買った。ちょっと違ったが。ただ、心は脳にあって、魂があるわけではないと確信するのには役立つ。

 脳の機能について解説した番組は時々あるが、たいてい出てくるのが事故等で脳に損傷を受けた人だ。脳が傷つくと意識や記憶が正常でなくなるので、やはり心は脳の機能だと考えていいのだろう。この本にもいろいろな神経疾患の人が出てくる。事故で腕を切断したが、ないはずの腕にかゆみを感じる人、自分の腕を他人のものだと信じて疑わない人、父親を偽者だと思う人、等など。

 どれくらいリアルかというと、例えばふと目を覚ますとすぐ横に他人の腕があるので、びっくりしてベッドからよく落ちるのだそうだ。人から見ると明らかに変だが、本人にとっては現実としか思えないのだ。だから、体外離脱や臨死体験が本人にとっては現実体験だが、やっぱり幻覚なのだとしてもおかしくはない。

 現代医学でも脳がどうやって意識を生み出しているのかは分かっていないが、どこがどういう機能を持っているかは分かっているらしい。長年神経疾患の患者に接し、脳のどこが損傷を受けるとどういう症状が起こるかを診てきたラマチャンドラン博士によると、以下のようであるらしい。

名前 機能 場所
体現化された自己 自分の身体イメージを保つ。足の指をぎゅっとつかまれた時、痛みを感じるのは「私」であって「それ」ではない。 頭頂葉にある神経回路と、それが投射する前頭葉の領域。
感情の自己 情動を生む。 側頭葉にあるへん桃体その他の辺縁系。
実行の自己 実行できることとできないことの区別を認識し、実行する。 前頭葉の帯状回と補足運動野。
記憶の自己 記憶する。 海馬。
統合された自己 意識に一貫性を強要する。 へん桃体と前部帯状回。
警戒の自己 警戒する。 脳幹と視床の回路。

 どこがどういう機能を持っているか分かっている時点で、もう魂などというものについて考えても仕方ないのではないか。脳が損傷を受けても魂が傷ついていないのであれば、正常に思考できるはずではないか。

 ラマチャンドラン博士によると、例えば私が全色盲だとして、正常な色覚を持つ人の脳と私の脳を神経線維でつなげば、色が分かるはずだという。すると、霊能者の脳と私の脳をつなげば、私も幽霊を見られるのだろうか。それは面白いなあ。まあ、科学が発達して人工の神経線維を頭皮にペタッと貼り付けるだけでよくなったとしても、他人の脳と自分の脳をつなぐのは嫌だけど。


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