ふと、中学生の頃の課題に応えてみようという気になった。国語の時間なのにいきなり「税金を減らす方法を考えてレポートを提出しなさい」という課題を出されて面食らったというもの。その時は制限時間が１時間だったし資料といっても図書室の本しかなかった。今ならインターネットでちょちょいと検索するだけでたくさん出てくる。

　私達はスーパーに行って買い物をしたり、散髪屋さんでお金を払って髪を切ってもらったり、切符を買って電車に乗ったりしている。そういう民間企業がやっているやつではなく、国としてやっている事業がある。火事があれば消防士が来て火を消すし、犯罪があればお巡りさんが捕まえるし、信号が壊れれば直すし新しい道路を作ったりもする。そういうことにももちろんお金がかかる。そのお金はどうしているかというと国民みんなから集めている。それが税金だ。税金制度がないと火事があって消防士を呼んでも、「これこれの金額がかかりますけど、消しますか？」とか言われちゃうわけだ。

　税金でも足りない分は国債という国の借金で補われている。その借金額がどんどん膨れ上がっているので大問題となっているのだ。平成１７年度の国の収入は総額８２兆１８２９億円、そのうち税金が４４兆７０億円、国債が３４兆３９００億円、その他３兆７８５９億円となっている。なんと国家予算のうち４１．８％が借金でまかなわれているのだ。なお、支出は収入と同じ８２兆１８２９億円である。

　日本が借金大国となっているのは不況が原因らしい。日本では収入額に応じて税率が決められており、儲けている人ほど高い税金を払う仕組みになっている。収入が少ない人は払う税金も少ない（累進課税制度）。景気が悪いせいでみんなの収入が少なく、そのため税金による国の収入も少ない。こうして不況が続く限り国の借金も増え続けるというわけだ。

　だめじゃん。これじゃ減税なんてあり得ない。

　みなさん、この国は必ず破綻します。(by 島田紳介)

　いや待て待て、インターネットにはこういうことを真剣に検討している人達もいるはずだ。その人達はどうすべきだと言っているのだろう。さっそく検索してみる。が、どうも一部分の問題について考えている人達ばかりで、私が望んでいるような全体的包括的に分析して何が一番問題でどうするのが一番効果的かというのを分かりやすく解説してくれているサイトは、ちょっと探しただけでは見つからなかった。

　どうやら、「税金の無駄遣いをやめろ」という意見が多いようだ。ニュースやＴＶタックルでもよく出てくる、「役人のために豪華施設を作っている」、「役人が税金で高級外車を買っている」、「みんなから集めた年金を株で増やそうとして大失敗している」といったあれである。

　会計検査院の調査によると、２００３年度の税金の無駄遣いや不正経理などの指摘は２８５件で、総額４３０億円に上るという。金額だけ見るとすごいが、８２兆のうちの４３０億である。無駄遣いを全部やめさせたとしてもたいした効果はない。だが、この無駄遣いに関しては諸説紛々である。国家予算のうち１５．３兆円が官僚の天下り先の特殊法人、独立行政法人、公益団体に補助金として流出しているという説もある。これをなくせば結構効果がある。小泉首相は郵政民営化にこだわっているが、その理由の一つに天下った官僚にお金が流れるのを防ぐというのがあるらしい。そういえば最近郵政民営化ってあんまり言わないね。あんなに騒がれていたのにどうしちゃったんだろう。そりゃホリエモンや偽装問題って大きな事なんだろうけど、国会で話し合うようなことなの？　国家レベルの大問題なの？　国会の人達ってそんなに暇なの？　まだ郵政民営化も議員年金の撤廃もやられてないんだけど、やらないの？

　やっぱり税金を減らそうと思ったら何に使われているのか分からないとだめだ。平成１７年度の８２兆１８２９億円の内訳は以下の通り。

　あれ？　さっき書いた警察や消防署はどこに入るんだろう、とか思うがまあいいや。借金まみれになっているのだから素人考えではこの中のどれかを削らなければならないはずである。検索してもよく分からなかったので勝手に考えてみる。なぜか日本国民は、というかニュースやＴＶタックルはこの中の年金にばかり怒っている。社会保険庁がみんなの年金で勝手に高級車を買ったり豪華施設建てたり株やって大負けしているというのがテレビで流されてからみんな怒り始めた。この間一般人と議員が議論する番組でえなりかずきも怒っていた。年金制度なんかやめちゃって、今まで預かった金をみんなに返せよと。返せるのだろうか。もうだいぶ無駄遣いしちゃってるはずである。そんな事言ったってしょうがないじゃないかあ、と思うが、まあこのまま放っておいてもいずれ破綻しそうなので、年金はさっさとやめちゃった方がいいかもしれない。

　問題の焦点である国債だが、誰に借金しているのだろう。アメリカだろうか。ヨーロッパだろうか。なんと日本国民なのだ。国債というのは、株みたいな感じで券を買うのだ。で、後で利子をつけて現金に戻してもらうのだ。なんだ日本国内だったらいいじゃん。株だって企業が儲からなければ損をするのだから、ここは一つ国債を買った人には泣いてもらって、せめて利子だけでもチャラにしてもらうと。無理そうだな。しかし本当に日本経済が行き詰ってしまったら、国債は紙くずになるのかもしれない。

　自衛隊っているのだろうか。素人考えでは今の所全然役に立ってないように思えるのだが。自衛隊って普段何をしているのだろう。訓練ばっかりやっているのだろうか。だったらいらない。じゃあいざ戦争が起こった時自分が徴兵されてもいいのかと。しかし本当に戦争が起こったらどっちみち自衛隊だけじゃ足りなくて一般人も徴兵されそうな気がする。いらない。

　公園はいらない。いやその辺の子供達の遊び場としての公園はあった方がいいかもしれないが。日比谷公園とか、なんとか森林公園とか、そういう類のはいらない。うちの近所の公園なんかはホームレスの安住の地になっている。なぜ税金を払ってホームレスに憩いの場を提供しなければならないのか。いらない。せめて公園にある噴水やしゃれた灯りは撤去すべきだ。水や電気代がもったいない。いるのかねあんなの。

　先進国は発展途上国を経済援助する義務があるなどと言うが、自分の国が火の車なのに他の国の援助なんかしている場合だろうか。いらない。

　ってこんなに簡単にばんばん削れるんならとっくにやってるだろう。たぶんそんな簡単な問題ではないのだろう。っていうか詳しい人がもしこれを読んだら「こいつはバカじゃなかろうか」とか思われそうだ。読まないか。

　国民のみなさん、もっと税金に関心を持ちましょう、などと言われるが、今日ちょっと調べてみただけでも相当面倒くさかった。これじゃみんなが関心を持つはずがない。国とかが分かりやすくまとめたサイトでも作ればいいと思うのだが。その点一般市民がもっとも政治に親しみを持ちやすいのはＴＶタックルだと思う。ＴＶタックルを見るとちょっと頭がよくなったような気がするが、気がするだけで見終わって振り返ってみると結局何も分かってなかったりする。あれはたぶん議員先生方が互いの話に割り込んでわあわあ言ってるのが楽しいだけだ。

　中学の国語の先生すみません。やっぱり課題は提出できそうにありません。ちなみに当時の私の答は「日本は石油とかの資源を持っていないのだから、宇宙に行って資源を採掘すればいいと思う。そうすれば豊かになり税金も減るに違いない」だった。先生に「そんな事本当にできると思ってるの！？」と一蹴されたが。日本どころか今だって世界中のどの国もたぶんそんな事はやっていない。夢見る少年であった。昔アメリカも今の日本のように不景気だったそうだ。アメリカ国内からＩＴ産業が興って回復したという。では今後日本国内で現状を打破するような産業が興ってくるかというとたぶんないだろう。

　ただ一つだけ言えるのは、そんなに無駄遣いする金があるならそのうちの３億ほど私にくれよと。だってどうせ無駄遣いなんでしょ？　だったら私にくれてもいいじゃん。