貧乏な男は指輪・宝石店へと急いでいた。彼のズボンの後ろポケットには貯金の大半が入っている財布があった。
「今日こそ彼女にプロポーズするぞ」
 急ぎつつも、なにげなく道端を見ると、そこに妙な紙切れが落ちていた。
「これは不幸の手紙です。拾うと不幸になります。絶対に拾わないで下さい」
 彼はかがみこんだ。はてな? 不幸の手紙というのは道端に落ちてるものだっけ?
 そんな彼の後ろをサングラスをかけた髭もじゃの怪しげな外国人が通り過ぎた。
 紙を拾い立ち上がった彼がなにげなくお尻に手を当てると……
「ない! 財布がない!」
 彼は紙切れを裏返した。
「だから言ったでしょ? 不幸になるって」

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