男は車をとばしていた。ゴキゲンな音楽を聞きながら、ジュースを飲む。
「ゴク、ゴク、ゴク、ンハァーッ!」
 男は窓から腕を出し、威勢よく缶を放り投げた。缶は道路脇の木の枝にコーンとぶつかり、放物線を描いた。道路のそばの川の近くでゴルフの練習をしていたオヤジがブン! とクラブをふると、ボールのかわりに缶が当たった。
 イタズラ坊やがカラスをパチンコで撃とうとしていた。はじき出された小石は缶に当たり、缶はさらに上空へ。それをカラスがパクッとキャッチし、そのまま飛んでいった。カラスはある火山の噴火口に缶を落とした。
 一年後、登山家となった男は山のふもとに来ていた。突然、ゴーッという音と、「山が噴火したぞー」という声が聞こえた。
 男は慌てて山を見上げた。ヒューッと音をたてながら、何か落ちてくるのが見えた。
 スコーン!
 缶が男の頭を直撃し、男は気絶した。

 山の頂上から、おそろしい勢いで溶岩が流れ始めた。

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