二〇〇一年、ついにタイムマシンは完成した。
「いいですか? 帰ってこられる範囲は千年が限度ですからね。それ以上未来へ行くともう帰ってこられませんからね。くれぐれも気をつけて下さい」
 タイムマシンの中から、時間飛行士第一号は博士に手でOKのマークを作ってみせた。
「千年か。どこに行こうかな? ではぎりぎりで九百年後に行ってみよう」
 ウイウイウイ……チーン。
 どうやら着いたらしい。彼はタイムマシンを降りたが、そこに広がる風景を見て唖然となった。来たことがない場所だが、それは明らかに二〇〇一年の風景だった。
「時間を移動せずに場所だけ移動する!? それじゃアベコベじゃないか!」
 彼はタイムマシンに乗り、再びメーターを九百年後に合わせた。
 ウイウイウイ……チーン。
 彼は降りてみたが、やはり風景は変わっていたが二〇〇一年のままなのだった。彼は嫌な予感がし、近くを通りかかった老人に尋ねた。
「すみません、今西暦何年ですか?」
「妙なことを聞く人じゃのう。三八〇一年に決まっとるじゃろうが」
「えっ! 二〇〇一年では……」
「ははあ、さてはお前さん、時間飛行士じゃな? そうかそうか二〇〇一年から来なさったか。あの時代は人類の文明が絶頂期に達した頃だといわれとるな。それ以来、人類の文明は全く進化しとらんのじゃよ」
 自分の予感が的中した事を知った彼の口が、アングリと開かれた。

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